幕下力士で、いつか横綱になるはずの金の卵というイメージで描きました。大事に大事に一生懸命描いてみたんです。頑張り屋であったかい人がテーマです。
NYに出展するTOKYOをテーマとする作品制作です。
絶望的に行き詰っていた数か月ですが、声をかけてもらって、出すと言った以上最後の最後まで頑張って描いています。テーマ作品を作ることは、絵を再開して3年以上たちましたがこれが初めてのことです。
私がいいなあと思う人間性で作品を残している人たちには、みな自分の中に怒りとか激情が渦巻いているみたいです。私に渦巻くものがあるとすれば、唯一描きたい気分しかないので、すでにちょっと足りないなあと思い始めていました。描きたい気分であてずっぽうに描いて描いて、すっきりしたあとは、どんなエネルギーを得たらいいのかしら、と思いはじめた。2014年にはじめて東京の企画展に出展させていただいたけれど、描き続けるエネルギーが足りないと思い始めていました。テーマ作品を描くということで、ちょっとおはなしから離れるのもいいことかもしれません。
テーマを東京とした場合、東京ってはじめて足を踏み入れた頃から比べると、江戸っぽいもんやり感が漂っている街をたくさん知って、歩いていて性に合う通りや駅もふえました。過渡期でまたどんどん変わっていくのかなあ。オリンピックの頃までにまたすごく変わるのかなあ。
この数か月、また、ひとりで東京をチョロチョロ歩いてみましたが、うずもれていくような感覚も確かにあった。しかし、久しぶりにシーバスに乗ってみて、東京の空って結構広いなあと驚いた。
そしていろんなことを感じた。日本は、ぎっしり摩天楼より、不思議なニョキニョキ感のある風景の似合う国。その隙間から今も富士山が見えたりするのが日本人には大事なことなんだなあ。
大相撲は、これまで、伝統を受け継ぐことの難しさを突き付けられながら、頑固に守られてきた部分が大きいですね。これは、表舞台としての相撲と同時に、それを支える裏方の文化の素晴らしさを伝えること。この古武道のありようを守るということがどのくらい大事なことなのか、日本人がみなで見届けていくべき稀有な文化だと感じるようになりました。
和太鼓の音楽を毎日聴いて、それに助けられた気もしますがなんとか作品仕上げられそうでうれしい。ずっと絵を描いてなかったから、一枚絵をなんとか仕上げられるようになるまでひと苦労しました。
いつものことながら、絵を描いているひまないような感じの日も多いけど続けています。人生は厳しいが、描く時間を探すのが大変なときほど、実は描くことが楽しくなっているので、お勉強させてもらっている感じ。もしかしたら、すごくいいチャンスをもらったのかもしれません。。。(2015.6)
この出展のあとは、絵を描き続けるということの心の部分が少し変わりました。わたくし自身のための時間のコチコチをほんとうに描きたいことのために使える分は、そんなに多くないということ。
人は、眠って食べて、歩いて働いて、差し引かれた時間がどのくらいなのか、よくよく考えれば、それに加えてしたいことがあるとき、どのくらい自分の時間を使えるものなのかしら。。そんなわけで、どちらかというと、内向きに制作を切り替えました。時計の音が変わりました。日時計のように、私の心のスピートで測るようになりました。良いきっかけになりました。
木の板に色鉛筆で描いた絵。
とても気にいっています。